約50億年の太陽系の歴史の中で,
各惑星は結果的にそれぞれ全く異なる大気圏を作り,
維持してきました.
地球では,
海洋つまり水圏と,
酸素を生んだ生物圏との繋がりが極めて重要です.
最近重視されている
そういう訳で, 当研究室では, 地球(および他惑星)の大気圏内で生じる様々の素過程を, 自分たちで観測しながら他の観測や理論と比較することによって研究しています. 例えば, 風の日変化・高度変化・経年変化, 雲の出来方や雨の降り方, 風や雨による大気中の諸物質の輸送や変化, などです. これらに使用するために当研究室が所有している中心設備としては,
大気圏と水圏(海洋)には様々の共通点がありますが(次頁参照),
より動きやすい大気の運動つまり風は,
海水を吹き流して海流を作り,
一方,
熱容量の大きい海面の温度や蒸発する水蒸気は,
大気の構造や運動に大きな影響を与るというように,
昨年起きた
赤道域全体の1/8を占めるインドネシア列島は,
太平洋からインド洋へ抜ける海流のダムの役割を果たし,
また前述のように普段は活発な積乱雲と降雨を生む.
この雲対流はさらに上方への大気循環の回廊となり,
頂上部の低温で水分を全て凍らせて降水として地上に戻し,
宇宙空間への散逸を防いでいる.
同時に変動を波動の形で上層大気へ伝え,
遥か極域のオゾンホールの生成にも関与している.
さらにここが氷期にインドシナ半島と繋がる陸橋となることによって,
生物の断続的な大移動と選択的進化にも寄与した.
上記のような重要性にも関わらず,
また古典的手段による観測はかなり以前から各地で行われていたにも関わらず,
様々の歴史的経緯によってこの地域の観測データの収集や,
先端的観測手段の投入は極めて遅れていた.
当研究室では,
京大およびインドネシア側と協同で,
国内気象資料のデータベース化,
スマトラ島レーダーの設置と観測を行った他, 東大他と協同で航空機・気球を用いた観測を行った.
インドネシア「海洋大陸」