山中大学の講義: 「惑星大気物理学」
(Updated on 8 November 1996)
京大院(1996), 東北大院(1996)
各惑星の大気圏の構造と力学について, これまでの理論・観測を概観し,
将来の本格的探査やそれに至る問題点を展望する. 内容は以下の通り:
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1. 序論
(惑星大気科学の地球惑星科学における位置付けと特殊性・意義について論じる)
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2. 基礎理論
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2.1 大気圏構造論 (星の力学平衡/大気の量的条件/大気の圏構造)
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2.2 大気運動論 (保存則と支配方程式系/準静力学的平衡解と気候/
動力学的平衡解と大気大循環/線形波動力学/球面
2次元流/自己重力流体)
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2.3 大気進化論 (原始太陽系星雲と木星型惑星大気/地球型惑星大気
の脱ガス過程/地球型の各惑星大気の分化)
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3. 惑星大気各論
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3.1 火星の気象 (酷寒地獄と浮遊ダスト/大砂嵐/熱潮汐波)
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3.2 金星の気象 (灼熱地獄と濃硫酸の雲/4日循環/重力波)
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3.3 木星型惑星の気象 (組成と鉛直構造/縞模様と高速帯状流/木星
大赤班/海王星大暗班)
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4. 惑星大気の探査
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4.1 科学的意義 (古典大気科学から惑星大気科学へ/日本の大気科学
に占める惑星大気研究の比重)
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4.2 技術的問題 (惑星大気観測の歴史/今後の主要課題)
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4.3 惑星大気科学と社会 (教育・国内研究環境・アジア圏の問題な
どについて考えるところを述べる)
テキスト: 当日配布する(まだ未完成であるが, できるだけ詳細な文献
リストは付けるので, より正確な記述は必ず原論文に遡って
確認されることを勧める)
参考書: 最近の邦書(章のタイトルは略記)としては以下の通り:
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「惑星の科学」(清水幹夫 編・朝倉書店, 1993年刊)の第1章
(惑星の大気/阿部豊), 第2章(惑星の気象/森山茂)
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「気象と環境の科学」(山崎道夫・廣岡俊彦 共編, 養賢堂,
1993年刊)の第1章(惑星の気象/松田佳久)
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「惑星大気」(森山茂 編, 日本気象学会「気象研究ノート」
第155号, 1987年刊) 第1章(エアロゾル/川端潔),
第2章(力学/森山茂・松田佳久・辻村豊・矢野順一),
第3章(光化学/足原修), 第4章(起源・進化/阿部豊・
松井孝典), 第5章(気候変動/森山茂)
上記に含まれた著者による以前のもの:
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「現代の太陽系科学」(大家寛・大林辰蔵 編, 東京大学出版
会, 1984年刊)の「下巻」の第3章(酷寒と焦熱の惑星
/森山茂・松田佳久)
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「大気の歴史」(森山茂 著, 東京堂, 1981年刊)
以上で尽くされていない部分の記述として以下も興味深い:
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「大気・雪氷相互作用」(安成哲三 編, 日本気象学会「気象
研究ノート」第177号, 1993年刊)の第7章(氷期と軌道
要素/増田耕一)
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「生物圏から大気圏への化学物質の移動」(岩坂泰信 編, 日
本気象学会「気象研究ノート」第181号, 1993年刊)の
第2章(大気組成の成因と生物圏/和田英太郎), 第7章
(電離圏の過程/松浦延夫), 第8章(磁気圏の過程/鶴
田浩一郎)
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「気象とカタストロフィー」(松田佳久・余田成男 共著, 日本
気象学会「気象研究ノート」第151号, 1985年刊)
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「縞々学」(川上紳一 著, 東京大学出版会, 1995年刊)
#以上の殆どを読破し, あるいはそのカバーする内容を既に理解されて
いる諸君は, 本講義をお聞きになる必要は殆どありません.
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